白間津大祭

■ 白間津の大祭(おおまち)行事

 4年毎の旧暦6月14,15,16日の3日間に行われていたが、昭和38年には新暦7月14,15,16日に変更され、昭和58年には新暦7月23,24,25日に変更になり、2003年には青年会員の便宜を図り、7月25(金),26(土),27日(日)に行われました。
平成4年3月11日に国の重要無形民族文化財に指定された【白間津のオオマチ(大祭)行事】は以下のようなものが伝承されています。




■ 「とひいらい」

 中高生の少女達によって演じられるもので、とひいらい棒を持ち、腰をかがめ棒で地を押し払いながら、神の下る道をなびかせていきます。また、扇を使いおっぺこ踊りも行います。年長者から二列に並んだ行列の前六人を特別に“ハナフリ”と呼び、ちょんまげのような髪を結っているのが特徴です。服装は、頭に鉢巻をしめ、黄色の五本襷をかけ、前垂れをしめ、赤い手甲と脚絆、白足袋姿、揃いの浴衣を着ています。


■ 「えんやぼう」

 小学生以下の男子によって演じられるもので、とひいらいが露払いした神の道から魔物を退散させる役といわれ、先頭の二人は“片鎌槍”を、他の者は薙刀を持って、地を振り払うように踊ります。服装はトヒイライとほぼ同様で、異なるのは手甲、脚絆などの色が青色です。


■ 「ささら踊り」

  祭りのなかでも最も重視されているもので、12種目あります。
「振込み(お寺)」「振込み(神社)」「お寺踊り」「白間津踊り」「山伏踊り」「御参宮踊り」「扇踊り」「六角踊り」「小切小踊り(外山)」「小切小踊り(森屋様)」「牛若踊り」「綾踊り」。
振込みは、境内に入るときの踊りで、日天・ 月天(仲立ち)が先頭にたって行進します。境内に達すると円形に敷かれた席の上で、中心に仲立ちと唄い手をおき、その周囲を廻りながら踊ります。
踊り手は小学6年生以下の少女たちで、幼女も加わる大変愛らしい踊りです。
手に持つササラは30センチほどに切った竹の先を28本に割ったもの。これを36の山形に刻んだ棒にこすりながら踊ります。小切小を打ったり、綾棒や扇を使った踊りもあります。服装は揃いの浴衣に花笠姿。



■ 「仲立ち」「唄い手」

 「仲立ち」に選ばれるのは、12歳位の少年で、50日間の潔斎をし、なかば神としての待遇を受ける祭礼の中心的存在で、服装は太鼓を腹につけ、赤熊(シャグマ)という紅く染めた麻の毛を頭にかぶり、日天・ 月天を象ったものを背負っています。
日天・ 月天の役の振り分けは第一日目にくじで決め、第二、第三日目と役は交替する
唄い手は15名ほどで、唄の区切りには「ほら貝」を吹きます。


■ 「酒樽萬燈」

 「酒樽萬燈」は、長さ3メートルの十字に組んだ角材の上部に四斗樽二つを括りつけたもので、重量は約40キロ。青年の男子のみが取り行うもので、参加した男達にとっては、重い萬燈をひとりで振る「力」の見せ所で、拍子木の音と、独特の掛け声をかけながら振ります。また、萬燈振りには三振り、五振り、七振りとの段階がありますが、今ではほぼ三振りのみです。



■ 「オオナ渡し」

 「オオナ渡し」は、大綱渡しが方言化した呼び名で、文字通り太い綱で、神の依代である大幟を引く祭事です。大幟は都合二本あり、それぞれ日天・ 月天と区別されています。そして、大幟の倒れ方で、例えば、日天が先に倒れると日照り、月天が先ならば時化(シケ)といった具合にその年の天候を占ったとされます。この日天・ 月天は杉材に日枝神社の幟旗を取り付けたものですが、作り方にも細かい取り決めがあります。まず、幟旗の上に取り付けるのが、日天・ 月天を象ったカサ。竹を輪にして(直径約2,6メートル)幅約70センチの赤い木綿布を周囲にグルリとたらします。カサはカサマク(笠幕)ともいい、日天のものを「日の出笠」、 月天は「曇り笠」とも呼びます。カサの上に取り付けるものは、ハナ。枝だれ式の飾りのことで、ハナの本数は、一日目は14本、二日目は15本、三日目は16本と一本づつ増やしていきます。ハナを飾る飾りはホシと呼ばれ、多ければ多いほどいいことになっています。大幟の根本を二十俵ほどの土俵で固めてあります。


■ 「お浜下り(お浜出し)」

 「お浜下り(お浜出し)」は、猿田彦を先頭に、トヒイライ、エンヤホウ、仲立ち、ササラと踊りの一行が続き、大榊、五色旗、巫女、伶人、笛、太鼓、唐櫃、鳳輦(神輿)、神官、関係者と続き最後に酒樽萬燈と行列を作り、浜の仮宮を目指し、行列をなす厳粛な神事です。


■ 「安兵衛のもてなし」

 オオナワタシの会場を後にしたササラは、仲立ちと共に安兵衛の家に振り込みます。安兵衛は屋号で、海から来た神が昼食を取ったとされる家で、神とされる仲立ちが土足で座敷に上がり、ササラとともに踊りを奉納します。その後、仲立ちはササラを控えさせて、安兵衛のもてなしを受けます。出される料理も決まっていて、京都・祇園社の紋が入った大徳利二本の酒、あわびの酢の物、さらし鯨(鯨の尾の部分の脂身)にきゅうりもみの四品。すべて安兵衛の当主が料理をする慣わし(月の障りのある女性は配膳の手伝いもしてはならない決まり)で、この為に当主は祭りに先立ち一週間の精進を行います。(この間はかあちゃんと家の一階と二階で別居だよと当主の安兵衛さんが笑いながら話してくれました)また家の玄関にはウチカザリ、門にはソトカザリと呼ばれる浄めの笹竹を立て注連縄が張られます。



(千倉町観光協会資料および、平成6年発行「白間津の大祭」より)

平成15年白間津大祭行事予定表
7月25日
宵祭
(ヨイマツリ・ヨミヤ)
 午前6時  大祭執行の知らせ。会員は神社に集合して幟を立てる
 神社近くの小幟・鳥居前の大幟・日天・ 月天の大幟の計6本
 日天を先ず東側に立て、 月天は西側の決まり
 午後2時  萬燈は神社へ、ささら、とひいらい、えんやほうは宿へ集合
 午後3時  奉告祭、祭典執行。終了後萬燈を所定の位置へ移す。
 午後3時30分  大祭行事開始。神社にてささら、とひいらい、えんやほう、酒樽萬燈
 午後7時  大祭行事終了
7月26日
本祭(ホンマチ)
 午前5時30分  会員は神社に集合しておおな渡しの幟を浜に移す
 午前8時30分  萬燈は神社へ、ささら、とひいらい、えんやほうは宿へ集合
 午前9時30分  祭典執行(日枝神社にて)
 午前10時30分  御浜下り(神幸の儀)開始。神社出発
 正午  直会の儀
 午後2時30分  萬燈は海岸道路へ、ささら、とひいらい、えんやほうは宿へ集合
 午後3時  大祭行事開始。とひいらい、えんやほう、ささら踊り
 オオナワタシ
 安兵衛のもてなし
 午後4時50分  酒樽萬燈は弁天様前に集合
 午後5時  仮宮前にてとひいらい、えんやほう、ささら、酒樽萬燈開始
 午後7時  大祭行事終了
7月27日
後祭(アトマチ)
 午前6時  会員は神社に集合しておおな渡しの幟を神社に移す
 午前9時  酒樽萬燈は仮宮前に集合。
 ささら、とひいらい、えんやほうは宿へ集合
 午前10時  神社に向け、還御の儀出発。
 午前11時  神社到着後祭典執行
 終了後、酒樽萬燈を所定の位置に戻す
 午後3時   酒樽萬燈を所定の位置に
 ささら、とひいらい、えんやほうは宿へ集合
 午後3時40分  大祭行事開始。神社にて、とひいらい、えんやほう、ささら踊り開始
 午後7時20分  始終楽。解散

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